本音で話すこと、話し手にとってのメリットとデメリットは何でしょうか。その前に、本音で話すことの定義を考えましょう。
辞書を引くと、「本心からいう言葉を発する」と解することができます。そして「本心」というのは「真実の気持」と解することができます。つまり、「本音で話す」とは「真実の気持ちからいう言葉を発する」ことです。こう考えると、「本音」と「知っていること全て」との違いは分かりますね。「本音」は「気持ち」重視で、「客観的事実」ではありません。もっと厳密に言えば、「真実の気持ち」も一つの「客観的事実」ですが、「客観的事実」は全て「真実の気持ち」には当てはまりません。
では、話し手にとってのメリット、デメリットを考えていきたいです。注意したいのは、相手が本音かどうかとは関係ない前提で話を進めます。
メリット:
- 一貫性を保つために疲れることはありません。
- 表向きのではなく、真の信頼関係への道が開かれます。
- コミュニケーションコストが下がり、誤解されることが少なくなり、会話がより建設的なものになりやすくなります。
デメリット:
- 場合によって、話し手は不利な状況に陥ることがあります。不利というのは、両者の関係などによって、短期的に影響を受けるものと場合によって一生影響を受けるものがあります。そして、どういう状況になるかは、予測できるケースがあれば予測しにくいケースもあります。
聞き手側のことを考えると、問題はほとんどありません。あると言えば、場合によって傷付くことがあるでしょう。しかし例えそんな時にも、可能な限り、傷つけない言い方、もしくは他のいいタイミングを探すやり方はあると思います。一方、ノーリスクの会話はあり得ないことも忘れないでほしいです。嘘の気持ちと少し傷付くことを選べるのなら、後者の方を迷わず選びます。
もし自分の「真実の気持ち」は常にどうしても相手を傷つけたり、自分を不利な状況に陥らせたりせざるを得ないのなら、強引に付き合ったり、話し合ったりする必要はないと思います。それでもどうしても必要があれば、残念ですが、建前で話すしかありませんね。