先に断っておきますが、専門家でもないし、複雑なことも一切分かりません。ですが、あえて言うなる、専門性が高過ぎると、裏の裏を考えた挙句、単純なことを見逃してしまって、返って物事の本質を見抜けなくなることもあると思います。
このような発想のもとで、EV シフトの本質を探求してみたいです。
EV シフトの一番の関心事項は、「これからの新販売車のエネルギー源別の割合は時間とともにどう変化するか」ではないでしょうか。なぜかというと、例えば、日本系メーカーは「EV はまだまだ先だろう」や「EV より水素の方は優れている」とかを考えていた(る)が、中国系メーカーは「いや EV はすぐ席巻するだろう」と考えています。この問題に対する答えの違いは各社の戦略そして行動にそのまま反映し、今日の結果をもたらしています。すべての論争の根源には、この問題しかないのではないかと思います。
では、この問題の答えを見つけ出す糸口はどこにあるでしょうか。複雑な技術の話や、環境負荷の細かな試算をして、答えを導き出そうとする人は少なくないが、これはそもそもスタートラインを間違えたのではないかと思わざるを得ません。なぜかというと、自動車の最も基盤的ですべての前提となる部分、すなわち何をエネルギーとするか問題は、空気をエネルギーにすることができない限り、そもそも自動車メーカーの関与の範囲をはるかに超えているからです。いままでガソリンは圧倒的なシェアを占めていたのも自動車メーカーが勝手に決められたものではなく、好きでも嫌いでも、それはただの前提条件として存在しているだけです。フェラーリも、どっかの訳の分からないメーカーも、ガソリンしか選択肢はなかったです。もっと端的にいうと、ガソリンか、電気か、水素か、メーカーはそれを受け入れるしかありません。最終的にどっちに行くかはただ潮流の問題で、力のあるメーカーは少しぐらい潮流を抑えたり変えたりすることはできるかもしれませんが、潮流は潮流で、逆らう者には退場してもらうしかないです。
潮流の形成は複雑で、ただの環境問題や技術問題ではありません。世界中のあらゆる思惑が交錯し、意思形成するのです。繰り返しですが、自動車メーカーはどうにもならないです。
他領域の例を挙げると、今現在、ほぼすべてのソフトウェアは Windows、macOS、iOS、Android、Linux など、数個の限られているオペレーティングシステム(OS)上に動作しなければなりません。これはエネルギー源みたいなどうしようもない前提条件です。さらに、それらの OS も、x86 もしくは ARM など極少数限られているハードウェアのプラットフォーム上に動作しなければなりません。もちろんプラットフォームは時間とともに進化し変貌するが、これは誰かの一存で決められるものではなく、性能だけではなく、色んな複合的な要因が潮流を作っているのです。いくらマイクロソフトなどのような力のある会社であっても、潮流に逆らったり、自分から潮流を作りだしたりすることはかなり難しいです。というか、無理です。
終わりに、本題に戻りますが、EV シフトの本質はただの技術や環境保護などの単一的な問題ではなく、何らなの複合的な理由で潮目が変わり始めただけではないかと思います。潮目を見極めて、それに順応するのは一番だと思います。潮目を変えようとか、決めようとかするのは一番危険で無謀な考え方ではないでしょうか。もちろん、潮目形成の仕組みの原理を探求することもいいですが、それはまた完全に別問題です。